ファクタリングを調べていると、必ず出てくる「2者間」と「3者間」という言葉。はじめて聞くと、「なんだか複雑そう」と感じる方も多いのではないでしょうか。

しかしこの2つは、ファクタリングの仕組みやリスクの方向性がまったく異なる選択肢です。自社の状況に合った方法を選ばなければ、信用トラブルやキャッシュフローの悪化を招いてしまう可能性もあります。

この記事では、

  • そもそも何が違うのか
  • メリット・デメリットは?
  • どんなケースでどちらを選ぶべきか

を順を追って解説していきます。複雑そうに見えても、一度理解してしまえば難しくありません。事例や表も交えて、分かりやすく整理していきましょう。

基本の違い:取引に「誰が関わるか」が分かれ目💡

2者間と3者間ファクタリングの最大の違いは、売掛先(取引先)にファクタリングの事実を通知するかどうかにあります。

種類登場人物売掛先への通知特徴
2者間ファクタリング自社+ファクタリング会社通知なし売掛先に知られない秘密性の高い取引
3者間ファクタリング自社+売掛先+ファクタリング会社通知あり(同意も必要)透明性が高く、手数料も低め

つまり、「売掛先を巻き込むかどうか」が両者の本質的な違いです。

✅ 2者間のメリット・デメリット

メリット

  • 売掛先に知られずに済むため、取引関係への影響が少ない
  • 早ければ即日入金も可能

デメリット

  • ファクタリング会社側のリスクが高いため、手数料が高め(10〜20%前後)
  • 取引額・売掛先の信用に応じて、審査がやや厳しくなることも

✅ 3者間のメリット・デメリット

メリット

  • 売掛先の同意があるため、信用が保証されやすく手数料が安い(3〜10%前後)
  • 審査通過後は契約トラブルが少なく、長期運用向き

デメリット

  • 売掛先への通知・同意が必要なため、時間がかかる
  • 関係性によっては、資金難が露呈してしまう懸念も

自社に合うのはどっち?判断ポイントをチェック

「どちらを選べばいいのか?」は、自社の状況によって異なります。以下のような観点で判断していきましょう。


  • 取引先との関係性
     → 長年の信頼があり、通知しても問題ない → 3者間
     → 新規取引や信頼関係に不安 → 2者間
  • 急ぎの資金調達かどうか
     → 明日中に現金が必要 → 2者間
     → 1週間以内でもOK → 3者間
  • 資金調達コストを抑えたいか
     → 手数料を節約したい → 3者間が有利
     → 少額でも即現金化優先 → 2者間でも可

また、ケース別のお勧めは以下のようになります。

ケースおすすめ
今月中に納税・支払いがある2者間
複数の取引先から毎月請求がある3者間(安定運用)
できれば取引先には知られたくない2者間
ファクタリングの手数料を抑えたい3者間

使い分けを理解すれば、リスクを最小限に

2者間と3者間ファクタリングの違いは、単なる形式の違いではなく、資金調達における戦略の分かれ目です。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、「とりあえず手数料が安い方」「通知したくないから非通知で」などと短絡的に決めるのではなく、自社の経営課題や資金繰り状況を冷静に見つめることが重要です。ポイントをまとめると、

  • 2者間:スピード重視・秘密性重視・コストは高め
  • 3者間:コスト重視・安定運用向き・関係性の透明性も必要

という事になりますね。

ファクタリングは“使って終わり”ではなく、“選んで始まる”資金戦略。
自社の信用やキャッシュフローを守りながら、もっとも適した方法を選んでいきましょう。